世界史を学ぶためには多くの素晴らしい本があります。でも、初心者からすればどれから手を付けていいかわからないのも事実。そこで、ここではわかりやすく面白い世界史の本を選んでみました。世界史を学ぶための参考にしていただければと思います。

 

集英社版学習漫画 世界の歴史

世界史の流れがよくわからない、そもそも昔どういう国があったのか全然わからない、という方は、まず漫画です。
漫画ならビジュアルで頭に入ってきますし、歴史人物のイメージも脳に定着しますよね。
歴史というのは「絵」なんです。そのうえでもっと学びたい人は肉付けしていくことが大事。

この集英社の世界の歴史シリーズは、全22巻と内容が充実しているのが特徴です。
それぞれの巻の内容は以下のとおりです。

世界の歴史 1 エジプトとメソポタミアの繁栄
世界の歴史 2 アレクサンドロス大王とカエサル
世界の歴史 3 ブッダと秦の始皇帝
世界の歴史 4 三国志の英雄と隋・唐のかがやき
世界の歴史 5 ムハンマドとイスラム世界の広がり
世界の歴史 6 カール大帝と十字軍の遠征
世界の歴史 7 チンギス=ハンと李舜臣
世界の歴史 8 玄奘法師とマルコ=ポーロ
世界の歴史 9 ミケランジェロとエリザベス女王
世界の歴史10 ルイ14世とマリア=テレジア
世界の歴史11 市民革命とナポレオン
世界の歴史12 アヘン戦争とシパーヒーの反乱
世界の歴史13 産業革命と自由主義
世界の歴史14 ワシントンとリンカン
世界の歴史15 ビスマルクと列強のアフリカ侵略
世界の歴史16 第一次世界大戦
世界の歴史17 レーニンと毛沢東
世界の歴史18 第二次世界大戦
世界の歴史19 アジア・アフリカ独立の時代
世界の歴史20 未来へ踏み出す世界の国々
世界の歴史 別巻1 人物事典
世界の歴史 別巻2 できごと事典

このシリーズで特筆すべきは、別巻で人物事典やできごと事典がついていることです。
時代ごとや地域別に理解しておきたいことを豊富なイラストと共に解説しているので、多くの知識が自然と頭に入ります。
人物事典では曹操やアレクサンドロス大王、ナイチンゲールやディズニーなど、世界史を動かした人物500人以上をマンガで紹介しているので、人物から歴史を学びたい方はこちらから入るのもいいでしょう。

図説 世界の歴史シリーズ

世界史の概説書は巻ごとに著者が違うものが多いですが、これは一人の著者が最後まで書いているので各巻で矛盾が出てくるということがありません。内容もすっきりしていて読みやすく、地図や絵などが多くて歴史を理解しやすいよう配慮されているのがポイント。全10巻という内容も手頃で、このうち近現代の3巻は立花隆さんも推薦しているほど優れた内容です。

ふくろうの本シリーズ

図説オランダの歴史、図説オーストリアの歴史など、さまざまな国別の歴史をたくさんの写真や絵画付きで学ぶことができます。国ごとの専門家が書いているので内容は信頼できますし、地図もたくさん出てくるので地理感覚がわからなくなることもありません。

国別でなくとも、ケルトの歴史のような文化単位での著書もこのシリーズにはあります。
ほかにも中世ヨーロッパの生活や英国メイドの日常など、興味深いテーマのものがたくさんあるので、どういうものがあるか調べてみると面白いです。

陳舜臣 中国の歴史

中国史について1から学びたい方にはこのシリーズです。お硬い歴史の本とは違って作家が書いているのでとても読みやすく、しかも詳しい中国史の本です。神話の時代から近代直前までの長い中国の歴史を書いていますが、人物中心で物語形式の語りなので途中で飽きることがありません。中国史で面白いのはキングダムで有名な古代や三國志だけではなく、どの時代にも面白い人物がいることがよくわかります。

講談社 中国の歴史シリーズ

講談社から出ている、現在最も新しい中国史のシリーズです。巻によって著者は違いますが、おおむね各時代の中国史に関するいちばん新しい知見をまとめてくれています。ただし巻により個性というものはあり、8巻の『疾駆する草原の征服者』は遼や五代についての記述がかなり多くなっています(そこが知りたい方にとってはいいのでしょうが)。三国志の巻は三国志入門としてはちょうどいい本となっていて、邪馬台国についても触れられているので、日本古代史に関心のある方にもおすすめです。明清の歴史を海域ネットワークに注目して書いている『海と帝国』はユニークな巻で、陸の帝国とみられがちな中華帝国にも海は重要な要素であったことがわかります。この巻は経済史に興味を持つ方に特におすすめです。

紫禁城の栄光

古い本ですが今読んでも本当に面白い一冊。明清全史と書かれていますが、この本が貴重なのは、この時代のモンゴルやチベットの歴史についても書かれているということです。この時代は、これらの内陸との関わりも深いので中国だけを見ていてもよくわからなくなるので、こうした地域にも目を向ける必要があるのです。同時代の日本のことも書かれているし、東アジア全体のこともこの本でおさえることができます。なにより最初に書かれている遊牧騎馬民族の特徴がわかりやすく、この遊牧民の性質がある意味中国史を規定する重要な要素になっているので、この部分を読むだけでも価値のある内容です。

興亡の世界史

世界史をイギリスやフランスなどの国別に切って理解するのではなく、大きな流れで見ていくシリーズ。このシリーズは遊牧民に関する巻が『スキタイと匈奴』『唐とシルクロード』『モンゴル帝国と長いその後』と3つもありますが、これは遊牧騎馬民族が世界史に与えた影響力がきわめて大きいためです。ロシア史の巻は国別という感じがしますが、これはロシアという国自体が西洋と東洋にまたがっていて世界史のダイナミズムを知るうえでロシアというくくりが必要だったからでしょう。最初のアレクサンドロスの巻はとてもわかりやすいので、『ヒストリエ』のファンにもおすすめです。

中公文庫 世界の歴史シリーズ

(1)人類の起原と古代オリエント [文庫]
(2)中華文明の誕生 [文庫]
(3)古代インドの文明と社会 [文庫]
(4)オリエント世界の発展 [文庫]
(5)ギリシアとローマ [文庫]
(6)隋唐帝国と古代朝鮮 [文庫]
(7)宋と中央ユーラシア [文庫]
(8)イスラーム世界の興隆 [文庫]
(9)大モンゴルの時代 [文庫]
(10)西ヨーロッパ世界の形成 [文庫]
(11)ビザンツとスラヴ [文庫]
(12)明清と李朝の時代 [文庫]
(13)東南アジアの伝統と発展 [文庫]
(14)ムガル帝国から英領インドへ [文庫]
(15)成熟のイスラーム社会 [文庫]
(16)ルネサンスと地中海 [文庫]
(17)ヨーロッパ近世の開花 [文庫]
(18)ラテンアメリカ文明の興亡 [文庫]
(19)中華帝国の危機 [文庫]
(20)近代イスラームの挑戦 [文庫]
(21)アメリカとフランスの革命 [文庫]
(22)近代ヨーロッパの情熱と苦悩 [文庫]
(23)アメリカ合衆国の膨張 [文庫]
(24)アフリカの民族と社会 [文庫]
(25)アジアと欧米世界 [文庫]
(26)世界大戦と現代文化の開幕 [文庫]
(27)自立へ向かうアジア [文庫]
(28)第2次世界大戦から米ソ対立へ [文庫]
(29)冷戦と経済繁栄 [文庫]
(30)新世紀の世界と日本 [文庫]

とにかく巻数の多い中公文庫の世界史シリーズ。全部を読むのはかなり大変かもしれません。なので、興味のある巻だけまず読んでみることをおすすめします。巻ごとに著者が違うので読みやすさもそれぞれ異なりますが、おおむね手堅い叙述になっています。ただし、中世ヨーロッパの巻は生活史や社会史に重きをおいた内容になっているので、まず政治史を知りたいという方にはこれは向きません。

1巻だけ取り上げるなら、25巻の『アジアと欧米世界』は強くおすすめします。これは経済史の巻ですが、「世界がなぜ今のような姿になっているのか」を世界システム論を使って解説するというユニークな内容で、砂糖のような「世界商品」を売りさばくことのできたイギリスが大英帝国として世界に君臨することができたということがくわしく解説されています。今までと違った世界史の捉え方ができるようになります。

詳説世界史研究

山川出版社の歴史教科書をさらに詳しくした内容です。教科書よりも厚いので、歴史の因果関係がよりよくわかるようになっていて、コラムなども充実しています。特にフランス革命に対する考察は必見。この革命はプラス面だけではなかったことがよくわかります。受験のために使うよりは、社会人が高校世界史程度の知識をおさえるために使うと効果的です。

馬の世界史

ローマ史の専門家である本村凌二さんが、馬をキーワードにして世界史について解説している本です。遊牧騎馬民族がユーラシア大陸の東西をつなげ、文明を媒介するきわめて重要な役割を果たしているわけですが、それは結局馬の持つ機動力によるものです。騎乗することができよく人間の言うことを聞くこの動物がいなければ、人間の歴史もずいぶん違ったものになったでしょう。今は競馬くらいでしかお目にかかれない馬ですが、かつては運搬や軍事の分野できわめて大きな役目を持っていたのです。

世界史のための人名辞典

これは無味乾燥な辞典ではありません。一人ひとりの記述がけっこうくわしく、読んでいてちゃんと面白いのです。この人何をした人だったっけ?と疑問が湧いたら、これで調べてみましょう。すると近くに書いてある人名にも興味が出てくるかもしれません。

世界史リブレット 人シリーズ

「歴史の山川」の山川出版社から出ているシリーズですが、このシリーズは本は薄い割に中身がとても濃いです。けっこう専門的な内容を含んでいるので初心者にはハードルの高いところもありますが、興味のある人物の巻だけ読めばいいと思います。内容としてはオーソドックスな人物伝になっているものと、人物を通して時代を見るという趣のものとがありますが、いずれにせよ内容には大いに学ぶところがあります。

銃・病原菌・鉄

NHKの番組にもよく登場する知の巨人ジャレド・ダイアモンドの有名な著書。タイトル通り、銃と病原菌、鉄という3つのものを通して世界史を見ていくという内容です。なぜ、世界は今のような姿になっているのか?どうしてインカ帝国がユーラシアを征服したりはしていないのか?と疑問に思ったことはありませんか?その謎を、本書は解き明かしてくれます。世界史の流れはそれぞれの大陸の資源や地理的条件によっておおむね決定づけられるのであり、それは何度歴史をやり直したところで変わらないようです。知的興奮に満ちた、とても刺激的な本です。

モンゴル帝国の歴史

興亡の世界史のモンゴルの巻の著者でもある杉山正明氏の著書。チンギス・カンの時代から初めてオゴタイの発展時代、フビライの中国征服や元寇にいたるまで、モンゴルの歴史がとてもわかりやすく、躍動的に書いてあります。モンゴル死を最初に学ぶならまずはこの本が良いでしょう。この本はある意味「中華思想への挑戦」になっていて、モンゴル=野蛮という見方を覆してくれる内容になっています。モンゴルはたしかに征服の過程で多くの人間を殺しましたが、それは他の民族でも同じことです。いったん中央アジアを征服してしまうと、モンゴルは交通網を整備したので東西交渉が盛んになり、商業が盛んになりました。グローバルな経済圏がここに誕生したのです。モンゴルが明によってきたに追われたことにより、この繁栄は失われました。モンゴルの果たした歴史的役割を教えてくれる本です。

世界を変えた火薬の歴史

古代から中世にかけて世界史を動かす大きな要因となっていたものに馬がありますが、近世に入るにつれて台頭してくる兵器が銃です。銃を持つ文明は、インカ帝国に対してスペインがそうであったように、そうでない文明に対して圧倒的な優位性を持ちます。このため、火薬兵器を作り出すことができるかどうかが、歴史を動かす重要な要素になるのです。本書を読むとわかるとおり、以外にも火薬の起源は中国にありました。これが西洋に伝わり、銃や大砲に用いられることで西洋が台頭する原因となっていきます。また、「火薬帝国」ともいわれるオスマンやムガル帝国の発展にも火薬が関わっています。モノから世界史を理解するためには格好の一冊です。

マクニール 世界史

人物が中心となりがちな日本の世界史の本とは異なり、技術や環境などを重視して書かれた世界史の本。なにがどのような影響して、世界が今のような姿になっているのか?が書かれているので、読んでいて納得できることが多いです。というのも、この本が『銃・病原菌・鉄』の種本のひとつだかららしいのですが。
英雄が活躍する本も楽しいものですが、本当に世界史を理解するにはこういう本を読むことも大事です。歴史は人間だけが動かしているわけではなく、地理的環境や資源なども歴史を動かす大きな要因で、こういうマクロな視点が世界史を見る上ではとても重要になってきます。こういう点に注目しているので、この世界史はベストセラーであり続けているのです。