現在、アメリカの下院でトランプ大統領の弾劾訴追が可決されました。

トランプ大統領はこれで2回目の弾劾訴追を受けていることになりますが、そもそもこの「弾劾訴追」って何なのでしょうか?

聞きなれない言葉なので、アメリカで何が起きているのかちょっと戸惑いますよね。

今回は、この「弾劾訴追」という言葉の意味と、弾劾訴追を受けたらトランプ氏はどうなるのか、について解説していきます。

弾劾訴追とはどういう意味?

「弾劾」とは、裁判官や大臣など、身分が保証されている官職についている人が悪いことをした場合、その不正や犯罪をはっきりさせ、辞めさせたり処罰したりするよう求めることです。そして「訴追」は、その手続きを行うこと指しています。

アメリカ大統領の場合、「反逆罪、収賄罪もしくはその他の犯罪、非行」があった場合、罷免できると憲法で決められています。

大統領の弾劾訴追は、議会の下院で過半数が賛成で決議されれば上院で弾劾裁判が行われ、ここで3分の2が賛成すれば大統領は罷免されます。

つまり今回の場合、トランプ大統領に対する弾劾訴追とは、アメリカ議会の下院がトランプ氏罷免を求めて決議を行う、ということを指します。

弾劾追訴が行われた理由は?

2回目の弾劾訴追が行われたのは、トランプ大統領が1月6日に起こった連邦議事堂乱入を煽ったとされたためです。

こちらの演説でトランプ氏が支持者に対し"Fight like hell"と言ったことなどが扇動とみなされています。

トランプ氏の弾劾訴追は13日には下院ですでに賛成多数となっており、一部共和党議員も弾劾訴追に賛成しています。

下院は賛成232、反対197で下院は弾劾訴追を可決し、あとは上院での弾劾裁判を待つことになりますが、現在上院は休会していて、弾劾裁判はバイデン氏が大統領に就任する20日以降になる可能性があります。


トランプ氏は2019年にも政治的利益のためウクライナに圧力をかけたとして、下院で弾劾訴追の決議案が通過しています。

このときは上院での弾劾裁判で無罪になったため、その後も問題なく大統領を続けることができました。

ですが、今回は連邦議事堂乱入という、民主主義の根幹を揺るがす事態をトランプ氏が煽ったとされているため、前回よりも状況は厳しいものと考えられます。

トランプ氏の2回目の弾劾裁判はしばらく先になるかもしれませんが、しばらく裁判のゆくえから目が離せません。

アメリカ大統領の弾劾裁判のしくみ

実はアメリカでは、司法機関が直接大統領を裁くことができません。

このため、立法府である上院に大統領の弾劾裁判を行うことになっています。

弾劾裁判では連邦最高裁の長官が裁判長を務めますが、裁判においては上院議員の一人一人が陪審員の役割を持つことになります。

裁判に出席した上院議員の3分の2以上が賛同すればトランプ氏は有罪になりますが、その場合、罷免したり将来公職に就くのを禁止することができます。

有罪になったらトランプ氏はどうなるのか

1月20日を過ぎたらすでにトランプ氏は大統領を退任しているので、それ以降の弾劾訴追に何の意味があるのかと思うかもしれません。

ですが、仮に弾劾裁判でトランプ氏が有罪になった場合、上院は氏が公職に就く資格をはく奪することができます。

しかも、2024年にトランプ氏が大統領選に出馬するのを禁ずる決議もできますので、トランプ氏が退任した後でも弾劾裁判のゆくえは注目の的になります。

弾劾裁判で有罪になった場合、トランプ氏はほぼ政治生命を絶たれることになるでしょう。

共和党内部には亀裂も……

トランプ氏の弾劾訴追に賛成したことで、脅迫を受けている共和党議員もいます。

上院での弾劾裁判では、議席数は共和党50、民主党50になるとみられていますが、トランプ氏を有罪とするには民主党が全員賛成とした場合、共和党から17人以上の賛成が必要となります。

上院でもトランプ氏の罷免に賛成する共和党議員はいるものと思われますが、上院でも下院同様、共和党内部での亀裂が生まれることは避けられないようです。

過去に弾劾訴追されたアメリカ大統領は?

トランプ氏以前に弾劾訴追を受けたアメリカ大統領は3人います。

それぞれの大統領が弾劾された理由は以下のとおりです。

・ジョンソン……陸軍長官を解任し、在職期限法違反とみなされる

・ニクソン……ウォーターゲート事件のもみ消しに関わり、司法妨害・職権乱用・議会侮辱の罪に問われる

・クリントン…大学生モニカ・ルインスキーとの不倫疑惑について連邦大審院でうその証言をしたとされ、司法妨害に問われる


弾劾訴追された理由はそれぞれ異なりますが、実際に罷免された大統領はまだ存在しません。

その意味でも、今回の弾劾訴追によりトランプ氏が罷免されるかどうかに注目が集まっています。