新型コロナ対策として現金給付を行う政策が以前から検討されていますが、国民全員に一律給付する案は見送りとなりそうです。
自民党内からは一律給付を求める声も出ていますが、自民執行部は給付対象を絞る案に理解を求めており、岸田文雄政調会長は会合後の記者会見で「必要とされる方に必要とされる額を給付する考え方が重要だ」と強調しています。
コロナ蔓延をふせぐため国民が自粛を求められているのに、十分な給付もないなら仕事も休めず、感染リスクも減らせません。
諸外国に比べて不十分な給付に、国民の不満も高まりそうです。
現金の給付対象はどんな人?
政府の緊急経済対策提言案として、「所得が大きく減少し、日常生活に支障をきたしている世帯・個人」を対象とすることが明記されます。
「所得が大きく減少」とは具体的にどれくらいなのか、それをどうやって調べるのかはまだ明らかではありません。
単に「所得が大きく減少」だと、マスクの転売禁止で設けられなくなった人も大きく所得が減少してしまいますが、この給付方法で本当に困っている人を救えるのか疑問が持たれます。
支給額はどれくらい?
「1世帯あたり10万円を超える現金を支給」する方向で調整が進められていますが、1世帯10万円では子供の多い世帯は一人当たりの支給額が少なくなってしまいます。
世帯分離していない学生などの場合、アルバイト先がなくなり収入が減っても給付対象ではなくなってしまいますが、これで本当に支援になるのでしょうか。
なぜ個人単位でないのか、疑問がふくらむばかりです。
一世帯当たり30万円という意向
日経新聞では給付額は1世帯あたり30万円になったと報じています。
「減収後の月収が一定の基準を下回る世帯に対象を絞り、高額所得者への給付は見送る」とこちらの記事では書かれていますが、どうやって収入が減ったと証明するのか、役所の窓繰りがクラスター化する懸念をどう払しょくするのかはまだわかりません。
住民票の所得などで今でも役所が込み合っているのに、この給付金の手続きでさらに公務員の事務負担を増やして大丈夫なのかも懸念されます。
給付時期はいつから?
西村康稔経済再生担当相は、補正予算の審議や準備のため緊急経済対策としての現金給付は早くても5月末になると発言しています。
本当に困っている人は誰なのか、審議を重ねているうちに支給時期が先に延びていき、今困っている人には届かないというパラドックスが起きています。
ニュージーランドでは、コロナで外出制限により休業を余儀なくされている労働者に賃金の8割保証が行われていますが、すでに43万人が受け取っています。
日本とは国家規模が違うとはいえ、スピード感のあまりの違いに驚いてしまいます。
SNSでは多くの批判が噴出
給付は自己申告制なのですが、書類は何枚くらい書かなくてはいけないのでしょうか。申告のハードルも低くはなさそうです。
今家賃や光熱費の支払いにも困っている人に対し、この給付方式では迅速に救うことができるとは思えません。
申告のために役所に人が集まることで、そこがクラスター化する懸念も出ています。
多くの人が外出を自粛している状況なのに、なぜハードルの高い申告方式にするのか、国民の納得できる理由を聞くことはできないようです。